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加古 志保さん(昭60卒)

外務省 大臣官房儀典総括官室
上級課長補佐
(昭60卒)

昭和41年生まれ 岐阜市出身
平成元年、東京外国語大学インドネシア・マレーシア語学科を卒業後、外務省に入省。
平成31年から令和5年までの4年間 在コタキナバル領事事務所所長として勤務。
現在、外交儀礼に関する業務を担当する大臣官房儀典総括官室でご活躍されています。

「外務省でつなぐ世界 選んだ道は 自分の好きな自分らしい生き方」

梅雨明けの気配が広がる、霞が関。手入れの行き届いた街路樹、静かに待機する公用車、制服姿の警備員。そして皇居や国会議事堂が厳かに並び立つ。ここで、世界と向き合い、日本の未来を見つめながら働く人々がいる。そのひとり、外務省で働く加古志保さんに、外交の現場で紡いだ自分の生きる道について伺いました。(聞き手 加藤信子(平6卒))

北高時代、どんな夢を持っていましたか?

「都会に出たい」という思いが強く、特に東京に対する憧れがありました。大学進学は東京へ出るための手段という感覚で。当時、テレビ番組で、海外のアーティストに通訳をしていた女性に憧れて「私も英語の通訳になりたい」と。そこから東京外国語大学・英米語学科を目指しました。でも私は不器用な性格。机上の勉強ばかりで、二次試験で重視されるヒアリングや英作文の対策が甘く、結果は不合格。かなり落ち込みました。でもその年、たまたま同じ大学の「インドネシア・マレーシア語学科」で二次募集があって、運よく拾っていただきました。選んだ理由は、たまたまテレビでインドネシアの大統領夫人を特集する番組を見て興味を持ったのがきっかけでした。

インドネシア語学科ではどんな学生生活を?

入学当初は、英米語学科に落ちたコンプレックスもありましたが、インドネシアを何度か旅行したりインドネシアに近づく努力をするうちに少しずつ前向きになれました。オランダの植民地時代の背景もあって、オランダ語も学び、オランダにも行きました。

外務省に入るきっかけは?

「せっかくならこの語学を活かせる仕事がしたい」と思い、外務省の外交官専門職試験を受けることに。大学内に試験を目指す同好会があって、仲間と一緒に勉強したり、添削指導を受けたりしながら挑戦しました。合格通知をもらった時は、大学受験の苦い思い出もあったので本当に嬉しかったです。

入省後はどのように?

入省前に専門語学が決まるのですが、私は希望していたオランダ語ではなく、なぜか「マレーシア語」に。インドネシア語とよく似ているので大学で学んだことが役に立った反面イントネーションの違いには苦労しました。2年目からは、研修でマレーシアの大学院に2年間留学。中身の濃い毎日で、今でもつながっている友人もいます。

研修後はそのまま在外勤務ではなく?

通常は研修後そのままマレーシアの大使館などでの勤務になるのですが、私は大学時代から交際していた今の夫に「2年間は待てるけど、それ以上は…」と言われていて。東京勤務を願い出て、東京に戻してもらいました。その後、結婚、二度の出産。

その後、海外勤務は?

子どもが小さいうちは無理だと思い、何度も海外勤務の打診があったけど断っていましたが、下の子が大学生になった2019年、「今を逃したらもうチャンスはない」と思い、人事課に相談してマレーシア・コタキナバルの領事事務所へ赴任しました。

初めての在外勤務はいかがでしたか?

事務所は海沿いにある小さなオフィスで、日本人4名、ローカルスタッフ7名の計11人ほどのアットホームな職場。私の仕事はサバ州政府との関係構築。サバ州の方々はとても親日的で仕事もしやすかったですが、コロナ禍で自由に動けない時期もあり、思うような活動ができなかったのは残念でした。とはいえ、東京勤務では経験できないスケールの大きな仕事に関われたのは大きな収穫。現地の友人もでき、生活面でも充実していました。

その後、再び東京へ

赴任中、人事課から別の在外勤務の話をいただいたのですが、岐阜の母の介護が現実的になっていて、もうこれ以上は難しいと判断。そして再び人事課にお願いして、2023年10月に東京に戻りました。

今はどんなお仕事を?

現在は「儀典総括官室」という部署で、外交儀礼に関する業務を担当しています。プロトコールといって、国によって異なる儀礼のアドバイスをしたり。プレッシャーやストレスも多いですが、それ以上にやりがいも。月に1回は岐阜に帰省して、施設にいる母に会っています。

仕事と子育ての両立について

子どもを二人抱え働くのは本当に大変でした。毎日ベビーシッターも雇い、子どもたちを一緒に育ててもらいました。夫も新聞記者で忙しく、海外赴任話を断ってもらったこともあります。育児も人それぞれですね。

北高生へ

〝第一志望に落ちたからハッピーだ”というメッセージではありませんが「捨てる神あれば拾う神あり」。思うようにいかなかったことも、前向きにとらえてほしいです。すごくがんばらなくてもいい。楽しく取り組むことが大事。自分の好きなことを無理せず楽しんで、その継続の先に自分なりの道が見えてくると思います。やるべきことはやる。でもそれがすべてではない。そして今より少しハードルの高いことにチャレンジしてほしい。

「今やりたいこと?…家の片付け、かなぁ(笑)」やわらかな笑みを浮かべながらそっと語る。北高の同級生と会ったり、子どものころから続けているバレエを楽しんだり、日々の忙しさの中でも自分のペースで歩みを進めてきた加古さん。やさしさと強さを持ち合わせるその佇まいに、学ぶことが多く、気づけば背中を押されている自分がいました。

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