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鷲見 廣也さん(昭58卒)

川原町寺子屋 塾長
(昭58卒)
川原町寺子屋
〒500-8009 岐阜市湊町10番地十八楼(4F)
Mail:terakoya18@icloud.com
電話:090-3568-5151 川原町寺子屋

昭和39年6月3日生 岐阜市長良出身
名古屋大学農学部卒
元鶯谷中学・高等学校教諭 進路指導主事
中学校・高校 教員免許所持
令和2年4月 川原町寺子屋を開校

金華山の麓、岐阜市川原町に佇む老舗旅館「十八楼」。その4階で小中高校生向けの塾を運営していらっしゃいます。コロナ禍での開校、そして子どもたちへの想いや今の教育に対しての考えなどを熱く語ってくださいました。

寺子屋で大切にしていること

『笑顔であいさつ』これが川原町寺子屋の標語(モットー)です。健康な子どもたちのマスク生活も終焉を迎え、塾の雰囲気も晴れやかになって来ました。変化に富んだ子供たちの表情をいつも見ることができ最高です。
川原町寺子屋では、学校の進度に合わせた基礎教科学習や受験対策問題演習はもちろんですが、歴史と自然に恵まれている岐阜の町を利用しながら教科の垣根を超えた学習にも取り組んでいます。国が推進するSTEAM教育※を行うのは学校や大手の塾ではなかなか難しいですからね。
先日、揖斐川町春日で収穫した青梅を持ち帰り、中1クラスで梅ジュース作りをしました。その実践授業内容は次のようなものです。
梅の成長と収穫方法について話をした後、桃に似た形をした青梅のスケッチ、匂いや硬さの確認、へた取り、密度・浮力の測定、標本調査などの作業・実験を行います。次の回では、瓶の中に入っている萎れた梅を観察しながら梅汁が氷砂糖を溶かす原理(浸透圧)を教え、英単語のplumsやdensityを使って英文を作ります。最後に農林業に携わる人の苦労や食品衛生管理などさまざまな視点から自由に意見や疑問をアウトプットしながら楽しく考える授業を展開していきます。子どもたちの観察力を褒め、素朴な疑問にも丁寧に対応していきます。
子どもたちには体験や実験を(その人の体力・技術力・能力にあった範囲で)やってみることを勧めています。失敗や間違えることは大歓迎、失敗の原因を探り、時にはもう一度やり直すことで新しい発見や感動そして興味関心が生まれるからです。共通テスト物理でも、誤った現象理解を正すために探究活動を通して考える問題が出題されるようになりましたね。
このように寺子屋では受験という現実からは少し離れた学習をすることもありますが、子どもたちに学び考える楽しさという火を灯しさえすれば、難関進学校に合格する中学生も出てきますし、大志を抱いて進学していく塾生も生まれます。口コミや紹介で集まった塾生が現在25名ほど。勉強や学校に通うのが苦手だった子が楽しく学べるようになり、学校では成績が振るわなかった子から「塾が楽しかった」というお礼のメッセージをもらった時は、涙が止まりませんでした。
川原町寺子屋では教室以外でも週末や休日の午後、『青空SCIENCE 教室』というボランティア活動をしています。十八楼の玄関前の駐車場で川原町を散策している人やお客様を対象に岐阜の木や鮎のお話、アカハライモリの観察やペットボトルロケットなどの科学実験を行なっています。
十八楼さんのおかげで安全・安心な学びの環境を提供できることにとても感謝しています。教育の世界で生きてきてその楽しみと喜びを知り、生涯子どもたちに寄り添っていきたいという思いが強くなり、寺子屋の開校に至っています。

※STEAM教育…AIやIoTなどの急速な技術の進展により社会が激しく変化し、多様な課題が生じている今日、文系・理系といった枠にとらわれず、各教科等の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながらそれを統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成が求められています。文部科学省では、STEM(Science,Technology,Engineering,Mathematics)に加え、芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲でAを定義し、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な学習を推進しています。

北高の思い出

北高では印象に残る先生がたくさんいます。剣道は構えが上段でも冗談が通じない3年時担任の大杉先生、当時のスラムダンク集団をまとめたバスケットボール部顧問の田中教頭先生、勉強よりスポーツが得意な生徒に優しい福田先生や浅野先生、陸上のスペシャリスト鷲見先生、授業をサボって保健室に逃げ込んできた私をそっと匿ってくれた保健の佐々木先生など。
私は後に理科教員になったので、長年北高に勤務され教科担任・指導教官でもあった佐藤先生、でもしか先生の意味を教えてくれた飯尾先生、卒業後に柔道部の顧問をされたダンディー岡崎先生、そしてなんといっても私の物理でもなく囲碁でもなく麻雀の師匠である小川弥太郎先生には今でも大変お世話になっており、私の憧れの恩師でもあります。
仲の良い北高同窓生は地元にたくさんおり、不動産業社長の安西日出夫と行政書士の奥様優佳(旧姓木村)さん、造園業社長兼プロジャズドラマーの武藤由希也、コンビニ経営の安藤泰朗(元北高PTA会長)、コンサルタント会社社長の道家睦明、焼き鳥屋家康の女将の高木友子(旧姓小林 昭60卒)など、多様な業界で住み良い岐阜の町を支えてくれています。そして前職場である鶯谷中学・高等学校の理事長の佐々木淳先生(昭50卒)、医師の松波紀行、歯科医師の松田先輩(昭53卒)や秋田先輩(昭57卒)、現北高教員でハンドボールとDIY凄腕職人の高橋淳先生(昭57卒)など世の中の師として活躍されている先輩方もたくさんいます。
私は6歳の時から柔道を続けていたので部活動は柔道部に入って主将も務めました。プール横の第2体育館で毎日畳を敷いて柔道に打ち込んでいましたが、稽古後、柔道着のままプールに入って、糸井先生にかなり叱られたことを覚えています。北高には柔北会という柔道部のOB会があり、40年以上にわたり伴田先輩(昭49卒)が柔北会の宴を毎年開催してくださり私の交友環境は素晴らしいものになりました。北高校門を設計された早矢仕弘治先輩(昭41卒元北斗会会長)、弁護士でよくテレビにも出演されていた伊藤邦彦先輩(昭46卒元北斗会会長)、そして私を私学教員へ導いてくれた元鶯谷中学・高等学校副校長の山田逸郎先輩(昭50卒)など、先輩のみなさんは本当に上戸でした。

北高生に願うこと

北高生はとても素直で賢く、そして倫理観は高くて責任感も強い。尖ったところもないので、教員や公務員、大企業の管理職で活躍されている人が多いと感じます。ただ争いを避け面倒なことを生み出さないように振る舞うためアウトプットが弱い気がします。今や生き方は多様化の時代、どう生きるかは人それぞれ、SNSの世界で高校生も社会経済活動に参加して稼ぐこともできるし起業もできる。高校や大学を中退して得意分野でプロになる人もいる。では「学校の存在意義(偏差値の高い大学を目指すメリット)は何か?」と聞かれたら私は第一に、生活を共にする仲間の存在を挙げます。勧められるまま大学や会社の情報を獲りに行くのも良いし、自分探しも良い。また学校以外の社会環境へ出かけてボランティアやアルバイトをしても良い。とにかく五感を使って実体験をし、貪欲に生きる力を培ってほしいし、自分の感じたことを自信を持って発信してほしい。言動に実体験という根拠があれば、説得力も高まります。型破りでもいいので同調圧力には負けない力を、そして謙虚でありながら主体性を持った人間になってほしいと願っています。北高生は人間力が高いですからね。

話す言葉の一つひとつに、人とひととのご縁をとても大切にして生きて来られた様子が伝わってきました。教育熱心な十八楼の女将さんとのご縁もその一つ。「私は、教育を通して子どもたちへ大切なことを伝えていく役割がある」と語る姿が印象的でした。

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